Algolia Advent Calendar 2021の12月6日の記事です。AlgoliaのTanya Hermanが書いた B2B commerce digital transformation: How to build a successful B2B ecommerce website, incorporating best industry practices の翻訳です。
Headlessでコンポーザブルなアーキテクチャは、エンゲージメントの高い的確なプロダクトのSearch and Discoveryインターフェースを構築する際に、クリティカルな柔軟性をもたらし、コンバージョンをより確実にし、お取引やご注文を増やしていくことが可能です。こちらの記事では3つの要素、もしくは、ステップ – headless / composable、search / discovery、conversion / engagement – が、モダンで競争力のあるB2Bビジネスにおいてどのように機能していくかをご説明します。
ステップ1: レガシーなモノリシックプラットフォームからHeadless/Composableアーキテクチャへのリプレイス
ガートナー社は、”2023年までにコンポーザブルなアプローチを採用する組織は、新しい機能の実装のスピードという点において、競合他社を80%上回る”と予想しています。
Headlessアーキテクチャは、フロントエンドとバックエンドの間の繋ぎを取り除くことで、自由と柔軟性をもたらします。バックエンドのインフラに影響を与えることなく、サイトのコンテンツやUIを即座に変更することが可能です。最新のAPI-firstなアプローチは、インターナルチーム(product, marketing, そしてmerchandising)に高いアジリティとスケーラビリティをもたらし、オンラインのオムニチャネル体験のイテレーションおよび新しい戦略のテストを可能にします。
B2B業界のリーダー達、例えばはDell TechnologiesはHeadlessを採用してeコマースプラットフォームでAPI-firstなアーキテクチャを実践しています。レガシーなモノリシックなソリューションと比較すると headless/composable アプローチの利点は、どのような組織にとってもとてもインパクトがあるものであると言えます:
- 迅速なイノベーション: 新しい機能を素早く導入し、各機能をより詳細にコントロールすることが可能
- 低いメンテナンスコスト: エレメントや機能をフレキシブルに選択することができ、ソフトウェアの自動的な更新を即座に行うことが可能
- ビジネスニーズの変化に容易に適応することが可能
コンポーザブルアーキテクチャはB2B企業にオムニチャネルなセールスモデルをもたらすことを容易にし、トラディショナルなアプローチよりも効果的であるということが証明されているとのことで、マッキンゼーが最近発表した調査によると、オムニチャネルは”世界のB2Bセールスにとって極めて重要”であり、B2B企業のリーダーの83%が、今までの”face-to-faceオンリー”なセールスよりも、見込み客の獲得と新規ビジネスの確保に成功する方法であると回答しています。
さらに、オムニチャネルモデルのパターンは複数の地域に該当し、世界のB2B企業が熱心に採択しているトレンドが見て取れます。
ステップ2: プロダクトのSearch and Discovery
フォレスターによると、B2Bの購買の92%は検索からはじまっているということです。さらに、Baymard Instituteの最近の調査では”プロダクトのタイプ”の検索(例: “男子用フーディー”、”サンダル”)は、ほとんどの場合、ユーザーがサイトに初めて訪れた時に行われます。つまり、プロダクトタイプの検索は、どんな品揃えなのかというユーザーの最初の印象を形成するのに役立つということです。たとえユーザーのクエリがサイトの正確なカテゴリーの説明と一致していなくても、適合している検索結果を提供するには、検索のレレバンスを適切に設定することが重要になります。検索した結果が限られたもしくは望ましくない在庫の印象を与えてしまうと、離脱のリスクが非常に高くなります。
- プロダクトカタログと、eコマースの機能を統合したUXにして、マルチプラットフォームに最適化させる
- プロダクトカタログとショピングプラットフォームの統合
- セールスプロセスの中で、様々なレギュレーション等によって提示することが求められるスペック詳細シート、ドキュメント、紙の書類などのサポートコンテンツなどは1つの検索バーからアクセスでき、特定のプロダクトまたはプロダクトのカテゴリーにリンクされている必要性
- アーキテクチャは検索エンジンとプライシングエンジンを組み合わせる必要性
- 注: 価格設定がダイナミックで、プロダクトの価格が頻繁に変更されるようなケースでは、プライシングエンジンのソリューションは価格設定の複雑さに関わらず、リアルタイムの価格データを提供する必要があります。
- プロダクトカタログの構造: 検索可能属性(サイズ、タイプ、カテゴリー、ブランド、カラー、人気)のプランニング
- 適合度の設定: 高速かつ効率的なプロダクト検索でB2Bに特化した機能(例: SKUによる検索)が含まれる
- マーチャンダイジング: キャンペーンやプロモーションのためのプロダクトマーチャンダイジングを以下のようなツールで自動化
- 適合性のルール(例: 特定のプロダクトを検索結果の上位にプロモーション)
- AI dynamic re-ranking
- AI synonyms suggestions
- パーソナライズ
- プロダクトレコメンデーション
ステップ3: コンバージョン、トランザクション、そして注文
コンバージョンやユーザーのエンゲージメントを高めるための要素は何でしょうか?
- パーソナライズされたプライシング: 予め交渉された独自の価格、割引、配送情報がリアルタイムに更新され、各ビジネス顧客に表示されることの保証
- チェックアウトプロセスの簡素化: 効率的なチェックアウトプロセスを保証するとともに、在庫データ、トラッキング、配送などの関連する注文情報などをすべて含める
- 素早く簡素化された再注文: B2Bの購買客のほとんどは繰り返し購入をするため、再注文のプロセスは効率化および簡素化されている必要がある(例: エイリアスによるパーソナライズされた検索、検索結果ページやページのブラウジングのパーソナライズ、B2Bの購買客が購入したい製品のSKUを貼り付けるだけのクイックオーダーボタンなど)
B2Bコマースのデジタルトランスフォーメーションのために、最適なSearch and Discoveryエンジンを選択するための意思決定プロセス。
- タイムラインと緊急度
- B2Bの購買客は、B2Cのオンライン体験にすでに慣れ親しんでいる。彼らがB2Bの世界に期待することは、B2Cのeコマースのトレンドやベストプラクティスと一致すること。ユーザーはこれ以上待ちたくないと考えており、B2Bのオンラインショッピング体験で遅れをとっているB2B企業にとっては解約のリスク。デジタルトランスフォーメーションの緊急度と優先順位を高くする必要性
- インフラ
- パフォーマンス。検索やインデックス作成などのクリティカルな機能を高速化するため、ゼロから設計・構築されたサードパーティ製のエンジンには、明らかなメリットがある。検索エンジンには、爆速で検索結果を提供し、プラットフォーム間で簡単にレプリケーションできることが求められる
- 信頼性。セキュリティパッチやメンテナンスパッチを必要としないソリューションは、セキュリティに関連するメンテナンスに手間がかかる製品よりも優れた選択肢である
- スケール。スケールに合わせてプロビジョニングする必要性から、精力的な取り組みが必要となるが、時間的な制約、エンジニアリングリソースの不足、予算の制限などの理由で、上手くやりくりできない場合がある。最適なソリューションは、どのようなスケールでも大規模なデータ量を処理が可能である
- APIファースト vs モノリスなソリューションの比較: コンポーザブル/Headlessのアプローチは、新しいトレンドや課題に対して将来的に対応するために不可欠なツールである
- ビルドおよびイテレーションを回していくことが容易。検索エンジンソリューションにおいては完全にドキュメント化されていて(APIクライアントやフロントエンドライブラリ)、新しいチャネルを開設したり、新しい国や地域に展開したりする際にゼロから始める必要がない
- 簡単に接続できて、Headless体験の下地が整っている。オムニチャネルのセールスモデルを成功させるためには、検索エンジンがすべての顧客タッチポイントに接続する必要がある。B2B業界にとってオムニチャネルは重要な鍵であり、例えば、セールス担当者用のアプリやオンラインカタログ、特定の顧客だけに提供される専用アプリ、カスタマーサポートツールなど、最適なビジネスのやり方が存在する
- 適合度の管理
- ホワイトボックスなアプローチ。検索エンジンは、使用しているアルゴリズムの透明性を提供し、ビジネスチームがランキングや適合性の戦略をコントロールできるようにする必要がある
- ダッシュボード。効率的に機能し、ビジネスの動向や課題に即座に対応するために、ビジネスチームが日常的に技術者に頼らずとも、ユーザーフレンドリーなダッシュボードから適合性を管理できる必要がある
パフォーマンス、信頼性、スケーラビリティ、そしてフレキシビリティが、Search and DiscoveryエンジンがB2Bコマースを生業としている組織に提供すべき4つの欠くことのできないメリットになります。。ElasticやSolrなどのオープンソースソリューションは、非常に多くのリソースを必要とし、維持や更新には膨大なエンジニアリングリソースが必要となります。オープンソースのソリューションは一見”無料”のように見えるかもしれませんが、その導入と維持にはコストと時間がかかります。これらの難しさは、検索結果のランキングアルゴリズムに関する透明性の欠如など、さらなる課題の上に積み重なってしまいます。一方で実装が容易なソリューションは依存性が高く、柔軟性や拡張性に限界があり、またクッキーの抜き型のような貧弱なアーキテクチャやデザインになっていまいがちです。これらのソリューションは、不透明なランキングアルゴリズムの制限に悩まされ、検索結果の適合性ランキングの設定のために修正やカスタマイズを施さなければならなくなってしまった場合、結果の予測が難しくなってしまうことも多いです。こういったことは複数のプロダクトの修正を必要とする可能性の高いB2Bコマース企業にとって、大きな不利益をもたらしてしまいます。Algoliaでは、B2B企業のユニークな要求を満たし、1つのプラットフォームから他の複数のプラットフォームへの拡張性と容易なレプリケーションを行うための幅広いカスタマイズを提供しています。
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