Autocomplete(predictive search): オンラインのコンバージョンにおける鍵

Algolia Advent Calendar 2021の12月8日の記事です。Catherine Deeが書いた Autocomplete (predictive search): A key to online conversion の翻訳です。


あなたが書いた文章を最後まで読んでくれる友達はいますか?自分のことをよく知ってくれている人がいると、なんだか不思議な気持ちになりますよね。

テクノロジーの世界では、このインタラクティブな友達に相当するものとして、autocompleteが挙げられます。autocompleteは、predictive search、type-ahead、autosuggest、auto-fill、autofillといった呼ばれ方をします。Autocompleteとは、検索ボックスやテキストフィールドに入力しようとすると、あなたが何をしたいのかを考えてくれるオンライン検索機能です。あなたが次に入力しようとしているキーストローク、単語、またはフレーズをAIが予測し、あなたの文章を完成させようと最善を尽くしてくれます。

autocompleteのアドベンチャー

例えば、急にチョコレートサンデーが食べたくなって、アイスクリーム屋さんを探そうと思ったとします。スマートフォンの検索バーに “ic “と入力すると、”e “とタイプする前に、”ice cream near me “という思わずヨダレが出てしまうようなアイデアが現れます。

あぁ、、AIはあなたのことをよく知っています。そしてさらに、Rocky Roadにスプリンクルを乗せるのは望んでいないという人のために、iCloud、Ice Cube、Iceland、、といったバックアップなアイデアも用意されています。そのあとは、文字を入力する煩わしい作業をやめて、お望みの候補をクリックすれば、適合する検索結果が得られるでしょう。

謙虚なスタート

Wikipediaによると、autocomplete predictionのコンセプトが初めて語られたのは1967年のようです。autocompleteの最初の用途は、体の不自由な人が文章を書くときに、より速く入力し、キーストロークの数を減らすということでした。

しかし、単語やフレーズが表示されることの魅力は、例えば、綴りの難しい薬の処方箋を書かなければならない医師にとって、長い名前が表示されて簡単に選択できることの方がはるかに大きいことが分かりました。それに加えて、たとえ医者でなくても、このようなテキスト入力を便利だと感じたのです。

2004年、Googleはautocomlete技術の実験的なバージョンとして、パイオニア的な”Google Suggest”を発表し、2008年にリリースされました。

Google検索を行ってすぐに得られる、他の人が既に検索したデータを織り込んだautocompleteのサジェスチョンは、当時は非常に風変わりであったけれどエンターテインメント性に富んでいて、”偶然のポエム“と呼ぶ人もいるほどでした。

完全な成功

今日では、autocompleteは、検索エンジン、Webブラウザ、データベースクエリツール、Eメールなどを使う人々に、ロジカルに理解できるサジェストをしてくれる身近な存在になっていると言えます。Webサイトの訪問者はGoogle、Amazon、Netflixなどがセットした高い基準のおかげで、デジタルな接客に慣れており、autocompleteさえそこにあってくれればいいと期待しています。彼らはサジェスチョンや正しい検索結果が即座に得られることを期待して、テクノロジーが不足していると思われた場合、競合他社のサイトにすぐに移動してしまいます。

実際のところ、autocompleteは検索を非常に容易かつ迅速にしてくれるので、ユーザビリティのベストプラクティスとしてステータスを得ています。そして興味深いことに、人々は効果的な検索を行うことそのもには慣れていますが、検索スキルといった点においてはお粗末なもので、ある調査によると、より効果的な検索結果を得るために検索方法を微調整する方法を知っているのは、わずか1%だけなのだそうです。ということで、autocompleteにアクセスできないということになると、すなわちそれは人々を不完全な状態に陥れてしまうようなことである、と。。

バックエンドの詳細

autocompleteはどのようにして魔法のように動くのでしょうか?それはアルゴリズムによるものと言えますが、そこには様々な要因に基づいてアルゴリズムが適用され、ユーザーがクエリを入力しはじめた時に表示されるかのせいのある補完の内容が特定されます。autocompleteのアルゴリズムには以下のようなものがあります:

  • 何が現在話題となっているのか、どれだけの人が検索しているのか
  • 検索をする人が単語を入力した回数や頻度
  • 特定の検索候補のクリックスルーレート
  • “セマンティック”な考察。検索をする人が具体的に何を意味しているかといった文脈をピンポイントで把握; Synonymsを使って適合性を向上
  • eコマースサイトでバイヤーが過去にどのようなクエリを入力してクリックして購買にまで至ったのか

オペレーション上のオプション

恐らく、今までご紹介してきたautocomplete機能が全て全く同じわけではないということに気が付かれた方もいらっしゃると思います。ここで具体的なテクニックをご紹介します:

  • 入力を開始した時に遅延がなく、即座に候補をサジェストすることで、優れたユーザー体験を提供するだけでなく、より会話に近いような体験を提供することができる
  • 検索結果の類似点、もしくは、相違点をハイライティング。これによって、適切なアイテムをクイックに探し出すことがでくる(特に小さなモバイルの画面ではこれが大きな助けになる)。例えば、オンラインショップのUnder Armourでは”top”を太字にして関連するプロダクトを以下のように表示
  • サジェスチョンの制限。選択肢が多すぎてやり過ぎ感がでないようにすることが重要。これに関しては、Search Analyticsを使って決定された最も良いサジェスチョンだけを表示するようにautocompleteを設定可能
  • サジェスチョンを最適化する、つまり最も適合度の高い結果を表示する。これによって検索を中断させてしまうようなタイプミスや不自然な言い回しを減らすことができ、検索をする人にとっては、最初の検索で成功する可能性を高めていくことができる。オートコンプリートの候補は、通常、ビジネスの適合性、サイトのSearch Analyticsのデータ、そしてビジネスのゴールに基づいて決められる。最適化されたautocomplete検索エンジンは、タイプミスに対して寛容で、検索エンジンと同様の適合性の設定を施す
  • autocompleteとfederated searchを組み合わせることで、選択できる検索結果の幅が広がることになり、例えば、美容系のウェブサイトであれば、プロダクト、関連商品、編集者のガイド、保湿液の選び方のTipsといったものが表示される

Aはautocomplete、Bはベネフィット

autocompleteのsearch-transformingをもたらす力は、Googleによる統計においても証明されていることです:

  • ユーザーはautocompleteを使うことでフォームを完了するまでに時間を30%削減できる
  • autocompleteはモバイルデバイスにおいては、特に便利ですが、デスクトップにおいても有効。autocompleteを使うことで、入力にかかる作業を約25%削減することができる(これを足し合わせたとすれば、全世界で1日あたり200年時間以上の入力時間)。

もちろん、検索の使いやすさが向上すれば、その後のコンバージョンの向上にも繋がっていきます。eBayのShanmuga Priya Pandiyanさんは、”ユーザーに求めることが少なければ少ないほど、ユーザーはフォームに入力したくなり、フォームへの入力が早ければ早いほど、コンバージョンが高まる” と述べています。autocompleteは、ユーザーが適合性のある結果をより早く見つけられるようにし、混乱、煩雑によって気が散る、あるいは検索エンジンがクエリを解析できないためにアイテムを見つけられないといったことによるバウンスレートを減少させます。

それでは、autocompleteはどの程度のゲームチェンジャーになるのでしょうか?検索アナリティクスの専門家であるMike Roberts(Spyfu)さんは、autocompleteは売上とコンバージョンを24%向上させると述べています。”autocompleteは検索クエリを長くする”と彼は指摘し、さらに”長いクエリはコンバージョン率が高くなる”と述べています。

コンバージョンを重視していない場合でも、autocompleteは大きな助けとなります。それはどのようなものかと言うと、サイトにショッピングカートがある場合、autocompleteを利用することで、平均の注文単価を高めることができます。また、特にeコマース以外の業種では、ユーザーのエンゲージメントが向上します。情報を探す時間が減れば、サイトのコンテンツを視聴する時間が増えます。

autocompleteを追加(そしてfine-tune)することで、さまざまな業界のウェブサイトが恩恵を受けるのは当然のことです。もちろん、eコマースサイトでは、買い物客が商品カタログを見やすくするために、メディア企業では、ユーザーが関連するニュース記事や動画を見つけやすくするためにautocompleteを利用することができます。しかし驚くべきことに、autocompleteの素晴らしさが証明されているにもかかわらず、Baymard Researchによると、2020年の時点で66%のeコマースサイトがautocompleteを提供していないということです。

ビジネスの勝利

ウェブサイトを運営する会社で働いているとして、autocomplete機能に投資をしたとすると、具体的にはどのようなリターンがあるのでしょうか。autocomplete機能は、ユーザーが気に入った検索結果を表示させることで、ユーザーがサイトを訪れてコンテンツをチェックしてくれる可能性を高める機能です。あなたができることは:

  • あなたのサイトのことをより深く知ってもらう: 例えば、autocompleteにプロダクトのカテゴリーを表示させることで、サイトを訪れる人が認識するプロダクトの種類を増やすことができる。autocompleteに表示するサジェスチョンをビジネスのプライオリティに合わせたり、複数の言語に対応させて混乱を抑えたり、サイトを訪問してくれる人のアウェアネスを高めることで満足度も高まる
  • 検索にかかる時間の短縮: autocompleteはコンテキストに沿ったサジェスチョンを素早く提供することができ、検索条件を全て入力する必要はほとんどの場合ない。最適化されていない検索エンジンが解析するのに苦労するような、長いクエリの入力やタイプミスを避けることはできるため、ユーザーは満足する
  • マーチャンダイジングのイニシアチブをサポート: autocompleteのサジェスチョンを活用して、ユーザーに表示させるコンテンツをキュレートすることが可能。例えば以下のようなことができる:
    • ユーザーの一般的な検索行動に基づいて、最も適合性の高いアイテムを上位に表示(例: 最も人気のあるアイテム、トレンドのアイテム)
    • ビジネスのプライオリティに合わせた提案(例: 高価格帯の商品やマージンの高い商品のプロモーション)
    • autocompleteのRulesを使って季節ごとにキュレートするプロダクトを調整
    • 再びサイトに戻ってきたユーザーに対するパーソナライズの設定
  • ユーザー体験の向上: 目的のコンテンツにすぐに辿り着けることで優れたユーザビリティをもたらす

モバイルは(常に)動いているわけではない

企業が成功できていない分野の中のひとつに、モバイルアプリが挙げられます。

例えば、外出先で電車の発車時刻を確認したい時にiPhoneやAndroid端末で”電車の時刻表”と入力すると、角張ったような企業サイトが表示され、時刻表を見るためには様々な手続きが必要になります。これは非常に面倒なことですが、もしこれを提供している企業がモバイル最適化をしていれば、この事態を避けることができたかもしれません。

このような問題はよく起こっています。eコマースのモバイルサイトのコンバージョン率は、デスクトップサイトのそれと比べて66%も低い(Smart Insights)のだそうです。モバイルアプリでは、例えば、正しいauto-fillの結果を人々に提供できていません。

Baymard Instituteがこれを裏付けています。モバイル画面のautocompleteのユーザビリティテストを行ったところ(全部で87社)、一部の予測がミスリーディングな結果となってしまっていました。そして”モバイルautocomplateは、特に正しい操作を行うのが難しい”と結論づけています。”ユーザーインターフェースは、画面がすでに小さくなってしまっていて、これはユーザーのタッチキーボードが同時に表示されている(画面のほぼ50%を占める)”というのがその理由です。

自動化の利点

autocomplateがより必要になっているにも関わらず、誰がautocompleteが過去最高のものではないと言い争いをするのでしょうか?モバイルデバイスやその他の場所で利用できるようになると:

  • 生活をより簡単に
  • 実績のあるクエリをユーザーに提供
  • 検索する人がアイテムを見つける可能性を上げる
  • 検索結果が0件になってしまう事態が減る
  • 検索する人の自信を高める: 正しい道であることを確認し詳細を追加していくことができる
  • マーチャンダイジングの支援につながる
  • 検索をする人が他の商品を知るきっかけになる(クロスセリング)
  • 認知度が向上し、離脱率が下がり、コンバージョンの機会のポテンシャルが上がる

“You complete me”とは、映画のJerry Maguireの中でトム・クルーズが彼の管理者/恋人に向かって言った言葉ですが、この”Completion”という概念を人間関係に適用するか検索用語に適用するかによらず、概念自体は非常に強力なものであり、検索テクノロジーといった観点からは、今後ますます愛されていくものとなるでしょう。

For more information

サービスパートナーとしての検索パートナーは、優れた検索を実現するためのUI、分先、その他のツールを提供することができます。autocompleteの可能性を追求したい方には以下のようなリソースがございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました