こちらはAlgoliaのMatthieu BlandineauによるOptimizing shoppers’ journey with a headless approach to AIの翻訳です。
今日のもの凄く競争の激しいオンラインの世界で勝ち抜くためには、お客様がリアル店舗に入ってベストなセールスパーソンと話をするといった体験よりも、更に上をいく体験をいかに構築するかというところに行き着くのであると思います。それはお客様にとって楽チンでニーズに合わせてパーソナライズされたものになるでしょう。
お客様に好みやデモグラ属性を登録していただいたり、サードパーティーのデータを購入したり、企業は様々なアプローチをしてパーソナライズ体験を構築しようとしています。最近では、そこにAI技術も加わってきています。しかし、ディライトフルな体験の構築は単純にAIツールを問題に投げつけても達成をすることは難しいでしょう。パーソナライズを含むAIの最適化は、上手く設定されていないと、ぞっとするようなものになってしまう可能性があります。お客様のオンラインでの活動全体に渡って、特定のブランドのプロパティ以外で追跡を行うようなパーソナライズや、あまりにも強度が高すぎるパーソナライズはお客様から敬遠されてしまう傾向にあります。63%の消費者が”不気味な”で過度なマーケティングを行う企業から商品やサービスを購入することをストップすると回答しています。つまり過度に最適化されたAIの適用は、体験を提供するというよりもそれを損なわせるように作用してしまい、あなたが提供する商品やサービスの中から、お客様が発見して楽しむということを阻害してしまいます。
in-session 最適化の必要性
最終的にあなたがお客様に提供したい体験は、お客様が一週間前に検討したけれど別のWebサイトで購入をしてしまったスニーカーをご提案したり、最新のスマートフォンを一度見ただけで興味があるわけではないのにそのスマートフォンケースを延々とプロモートする、といったような間抜けもしくは時代遅れなものではないはずです。
このような最適とは言い難い体験は、お客様が他のお店に行ってしまう結果を招くことでしょう。
また、こちらはリテール業者のウェブサイトがお客様を記憶している(もしくはお客様が記憶させている)場合に起こりうる事象と言えます。お客様がクッキーをブロックしていたり、購買の前にログインをしなかたり、デバイスを別のものに変えたりすると、ほとんどのオンラインショッピング体験は一般的なものに戻ってしまい、お客様の持つコンテキストや興味といったものが反映されていないものになってしまいがちです。
世界的に、データのプライバシー規制がより厳しくなっていく中で、消費者がプライバシーについて主張し、Apple社のような大企業が個人データの保護やプライバシーの権利に取り組むようになると、リテール業者は今までのアプローチ、例えば、過去のユーザーの行動データに基づいたデジタル体験の最適化を行うことが難しくなるでしょう。
リテール業者としては、お客様のお買い物体験を向上させる新しい方法が必要になります。デジタルなストアフロントにおけるセッションでの最初の行動に基づいてお客様のインテントを予測して、ほぼリアルタイムで体験を最適化する必要性が出てきます。
AIおよび機械学習を活用して、お客様の行動を分析し、リアルタイムでセグメントに割り当てを行って体験の最適化をすることで、リテール業者がそういった新しいやり方を実現させることができます。
For AI: one size does not fit all (単独では全てにフィットできない)
このビジョンを達成するために、複数の機械学習モデルのパワーを活用する必要があります: 訪れたカテゴリーに基づくユーザーのセグメント、入力した検索クエリに基づくセグメント、閲覧したプロダクトのページに基づいたセグメント、そのような情報を用いて検索結果を最適化したり、訪れたページに適切なレコメンデーションを表示する、等々。
そして、これは1つのチャネルでの1体験に過ぎません。お客様の行動はモバイルにおいては異なるものになるため、そこには異なるモデルが必要になります。またVoiceアシスタントや、ストア内Kiosk、店舗で働く従業員用のアプリケーションなども、リアルタイムのAI最適化の恩恵を享受することができるでしょう。
これらの全て異なる体験は、満足のいく結果を達成するために、それぞれ特定の機械学習モデルを必要とするお客様ジャーニーの様々なステップを表していると言えます。
AI is hard (AIは難しい)
残念ながら、お客様のインテントに的確にレスポンスするこのような包括的な体験を構築することは、ほとんどのリテール業者にとっては不可能と言えるかもしれません。
一方で、お客様のジャーニーの特定のステップに対応するパッケージ化された既製品のAIアプローチも存在します。しかし、これらのアプローチには、カスタマイズ性やfine-tuningを行うような余地があまりなく、ジャーニー全体で見た時に他の部分との連携が難しくなってしまいます。そのため、リテール業者がAIや機械学習モデルの成果を、ジャーニーのある部分から他の部分へと活用することが難しくなってしまいます。
また、これら全てのAI/機械学習モデルをスクラッチで構築し、最適化を行うことは、ほとんどのリテール業者にとっては達成が難しいと言えます。データサイエンティストと機械学習エンジニアのパーフェクトなチームを編成し、一つひとつのモデルに対して開発作業を繰り返し行っていく必要があります。
ヘッドレスコマースのAIへの適用
上記のような方法の他にもやり方はあります。モノリシックなeコマースの技術スタックが、注文管理、ペイメント、マーケティング、メール送信といったBest of Breed(餅は餅屋)なビルディングブロックに分けられているように、AIはお客様のジャーニーにおける特定の一部分だけを強化するためのBest of Breedなモデルで分解をすることが出来るかもしれません。
Algolia AI Studioは、ヘッドレスコマースがeコマースの技術スタックにもたらしたものをAIにもたらしました。それはお客様のジャーニーの全てのステップをカバーするAIビルディングブロックのスイートです。APIとしてパッケージ化されたこれらのモデルは、開発者の手によってどのようなウェブサイトやアプリケーションにも簡単に組み込むことができます。ユーザージャーニー全体を通じたAIの配備を以下の3つのステップで可能にします: ユースケースに応じた適切なAIモデルの選択、モデルとデータソースの接続、AIモデルのアウトプットがアクティベートされるユーザー体験との接続。
Algolia AI Studioには、以下の3つの主要なモデルがあります:
インテントベースの Search and Navigation
ユーザーのインテントを識別し、デジタルストアフロントの検索、ブラウズ、Voiceアシスタントアプリとの対話などにおいて、適切な商品を表示します。
例えば、イタリアで最も有名なファクトリーアウトレットの一つであるIntrendは、インテントベースのSearch and NavigationでAverage Oder Valueを20%増加させました。
インテントベースの Recommendations
商品ページや決済ページなどでのお客様の意図やコンテキストに基づいて、お客様に積極的に見せるべきコンテンツを予想するというものです。
例えば、購買ガイドなどでアドバンストなコンテンツ戦略を展開しているリテール業者は、コンテンツの編集ページにレコメンデーションAPIを用いることで、この購買ガイドに関連する商品や、ガイドを読んだお客様が現在のセッションで行ったアクションを表示することができます。
インテントベースの User Segmentation
予想されたインテントに基づいてお客様を分類して、予め定義された/オーケストレート(洗練された)一連のシナリオをトリガーに、お客様のショピングジャーニーを進めさせます。これには購入の可能性、カート離脱率、その他ユーザージャーニーの属性などが含まれます。
東欧で家具のリテールをビジネスのリーディングカンパニーであるMobexpertは、インテントベースのユーザーセグメンテーションを活用しており、中程度の確率で購買を行うお客様を特定し、そこに割引や送料無料といったサービスを提供することで、購買意欲を促進させるようにしていて、それによってコンバージョンレートが2倍になり、Average Order Valueが45%増加したとのことです。
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