新版 MADE IN JAPAN わが体験的国際戦略

[新版]MADE IN JAPAN
[新版]MADE IN JAPAN

posted with amazlet at 12.02.12
下村 満子 盛田 昭夫
PHP研究所
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新版 MADE IN JAPANを読みました。
 
この本があること自体はガキの頃から知ってたし、
なんか古臭い感じなのかなーって思ってて読んだ事はなかったです。
 
自分は神奈川県の海老名市出身で、それこそ厚木にあるSONYに勤めてる人なんて
スゲー人たちの集まりだ的な感じだったし、
就職活動の時にエントリーしたけど、説明会の申込みすら満員で出来なかったとか
なんかそんなような感じで、昔っからある大企業みたいなイメージだったんだけど、
ちょっと本屋で立ち読みしたら、戦後焼け野原から的なところから、イカした若い技術者たちが、
HPやAppleはガレージからはじまった的なのよりもアツいんじゃないかと
思って購入するに至りました、と。
 
全体通して胸熱なのはおいておいて、結構自分にとって響くところがあったので、
書き残しておこうかなと思います。
 
 
■ 戦争中

“警報のたびに夜中にたたき起こされて、翌日一日中寝不足の頭を抱えているよりは、
夜はじっくり睡眠をとったほうが利巧だと思った”

 
海軍とはいえ、研究をしている設備で、崖下にあるし、ロジカルに考えれば
アメリカ空軍がわざわざ狙ってくるとは思えず、もし爆弾が落ちたら運が悪かったと
諦めましょう的なエピソード。
 
軍隊に属する人間が、こんな風に行動するのは、逸脱した行為なんだろうけど、
自分の頭で考えて、皆とちゃんと共有した上で、行動するってのは
デキる人に共通してるアレなんじゃないかなぁとか思ったりします。
 
 
■ ウォークマン

“あのときどんなに市場調査をしても、そこからは「ウォークマン」の
アイデアは出なかっただろうということだ”

 
ウォークマンなんて英語はなく、当時はアメリカやイギリスの社員から
反対されたらしいなんてエピソードの後に、自分には上記の部分が刺さりました。
「真面目ナル技術者ノ〜」って企業理念は有名だけど、なんかソレって
今のGoogleとかFacebookとかよりもイカしてねーか?とか思ったり。
 
 
■ 契約/受注といった時にも、”曲げない”とか”身の丈”とか

“決して他社の下請けメーカーにだけはなるまい”

 
アメリカに進出しようとした時に、スゲーいい条件だったとしても。
こういう決断は当の本人にしか分からないものだと思うけど、
自分の意思をちゃんと貫けば後悔は残らないというか。

“5000個の注文は定価で受けるとして、曲線はそこから始まる。
1万個で値引きをしてカーブはそこで最低となる。
そこから値段は再び上がりはじめ、5万個で単価が5000個の場合を超え、
10万個となると、その差はずっと大きくなる”

 
ふつうに考えると、数が多くなればなるほど、値段は安くなる。
身の丈というか、自分たちの生産性や状況において、何が一番なのか?っていうのを、
自分の頭で考えた結果そうなったわけで、知識とかケーススタディとかもちろん
大切だろうけども、、って思えたエピソード。
 
 
■ 会社は社員のもの

“イギリスの工場が稼働しはじめてからも、管理職のだれにも、工場長にさえ
個室を提供しなかった。管理職は部下と同じ部屋で机を並べ、同じ設備を使うよう説得した。
工場では、毎朝職長が始業前に短いミーティングをし、その日の仕事をチームに伝える。
前日の作業についての報告もし、その間、メンバーの顔を注意深く観察する。
もしだれか顔色のすぐれぬ人がいれば、病気のためなのか、
何か心配事でもあるのかを必ず確かめる。身体の具合が悪かったり悩み事があっては
十分な仕事はできないので、これは大切なことである。”

 
ナニソレ。正に自分たちが今会社でやらなきゃいけないのってそういう事じゃん、と。
形骸化された無関心な朝礼やってる場合じゃないな、と。。
 
 
■ 終身雇用的な労働法

“戦争直後、民主的な新労働法が制定されたとき、多くの企業家たちが、
この法律を、日本作業を崩壊に導くものではないという危惧を抱いた。
解雇に対し非常に厳しい条件を設け、解雇を事実上不可能にしたこの革新的な
労働法は、日本の経営者に長い試練の時期を与えたが、結果的には企業内に
家族主義を浸透させることでそれを乗り切った。
ふりをみられたことを逆手にとって最大限に活用し、それを新しいものに
創り替えてしまったのだ。同時に、経営者自体も変わった。今や経営者も
等しく勤労者となったのである。何はともあれ、われわれがこの新労働法を戦後
押し付けられたことは、結果的に幸運だったと言えよう。”

 
え。そうだったの、と。
アメリカから押し付けられた労働法をウマイこと活用してって、
全然そんな事知らなかった。
その時代によってフィットする仕掛けってのもまた変わってくるだろうけど、
日本人が自分たちのスタイルに合わせて法律を活用してフィットさせてったって
いう背景を知ってるのと知らないのとじゃ、見方変わってくるなぁ。
 
 
■ 弁護士

“弁護士の言うことばかり聞いていたら何も仕事はできません。
ビジネスにとって弁護士の役割は非常に大切なものでありますが、
同時に危険なものであると私は考えます。
起こりうるすべてのリスクを弁護士が予測したとしても、”

 
自分は法学部出身なのですが、法律の道に進もうとは思わなかった経緯があったりします。
まさにココに書かれているような、印象があったから。
アメリカは訴訟大国ってのは周知な事だし、食いっぱぐれなさそうだと思ったけど。
 
 
■ 経営者

“外部から迎えられたあるアメリカ企業の経営者が、いくつかの工場を閉鎖し、
何千人もの従業員を解雇するという思い切った手を打ったため、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙で、すご腕の経営者とたたえられた。
日本では、そんなやり方は最も恥ずべきことと考えられている。”

 
読んでて気持ちイイ一節。
オイルショックの時に、給料がもらえなくても、家でゴロゴロしてた夫に対して
妻が会社に行って役に立って来いみたいなエピソードが紹介されてたりするんだけど、
日本人にはそっちの方がハマるんじゃないかなぁと。
 
 
■ MOTTAINAI的な

“「もったいない」という観念はん本でこそ美徳とされているが、
アメリカではさして重視される価値観ではなく、”

 
去年、約3ヶ月間サンフランシスコで暮らしてみて、
21世紀の今になっても、そういう感じだよなーって。
日本のエネルギーの効率的な利用はハイレベルなものだそうだけど、
原発事故があった今だからこそ、もう一個上のレベルを目指すなんてのも
あるのかなぁって思ったり。
 
 
■ スキルトランスファー

“デジタル・テクノロジーの時代が到来したからといって、アナログ・テクノロジーに
詳しいエンジニアをお払い箱にするようなことはしなかった。
デジタル・エンジニアを大量に雇用するといった求人広告を大々的に出したりは
しなかった。では、どうやって問題を解決したか。
アナログ・エンジニアに新しいデジタルの世界を学んでもらったのである。
彼らも自らのサバイバルのために必死で努力した。”

 
いやー、コレだよコレって思ってしまう一節。
自分はソフトウエアの開発現場にいて、かなりドライな部分を目の当たりにしてきた。
でも、こっちのノリの方が良くね?って思えてしまうのは、日本人だからなのかなぁ。
 
 
■ ソニプラ

“日本は今真剣に市場開放に取り組んでいる。だが、外国企業はなかなか日本に
入ってこようとしないし、本気で市場開拓に当たろうともしない。一つには
彼らが、日本に進出するには膨大な投資がいるのではないかとか、収益が得られる
ようになるまで長い時間がかかるのではないかとか、思ってきたからである。
私は外国企業にもっと刺激を与えたいと考えた。”

 
上記のような背景で一般消費者向けの外国商品販売ビジネスを
はじめたそうで、若い女子がキャッキャしに行く所的な印象があったのですが、
へー、そうだったのねぇって思ったり。
 
 
■ HBS

“アメリカでは、ハーバード・ビジネススクール流の経営理論が浸透しており、
ビジネスマンたちは収益第一主義で経営に当たっている”

 
上記のウォール・ストリート・ジャーナルのアレもそうだけど、
ソレがホントにイケてるのかどうかってのは、自分の頭で考えなきゃなって思う。
アメリカの大学院いったエリートが経営者になる近道みたいのは違うだろって
思ってた自分にとっては、何十年も前からソレに疑問を投げかけてた盛田氏の
考察は非常に興味深いです。
 
 
■ イノベーション

“もし、われわれ技術者が、現在のシステムがベストでそれ以外の選択は
ないと考えれば、その瞬間からイノベーションはなくなるのです。”

 
そうそう。現状に満足して、そこにしがみつきはじめたら終わりだぜ
って勇気をもらえた一節。
 
 
■ 日本

“国民のほぼ100パーセントが文字を読めるし、だれもが同一言語を話、
同じ文化的背景を持ち、同じ全国放送のテレビを見、全国版の新聞を読む”

 
こういう日本人にとっては当たり前の事が世界では当たり前じゃない。
そりゃいろんな事が世界と違くて当然だよな、と。
 

戦前の日本はかなりの格差社会で、一部にはホントーに金持ちで裕福な暮らしを
していた人たちがいて、この盛田氏もそういう家の出身。
だからこそ、海外に行ってハイソサエティな人たちとイイ関係が築けたみたいな
ところあんだろうなぁとか、
そもそも俺自身が研究熱心なタイプのエンジニアでもないってのもあって、
あんまり自分とオーバーラップするところは少ないかなぁと思いますが、
ドヤ顔で自分達の日本流のやり方を外に向けて発信していけたらなぁって思ったりします。
 
これからも仕事で海外に出てくことが増えていきそうな気がするので、
ナイスなタイミングでスゲーアツい本に出会えたなぁって、
大変満足な一冊でございました。

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